Monthly Archives: September 2015

JJCLIP#26 新しい糖尿病治療薬で合併症を防ぐことができるのでしょうか?

まさひろ@メディカル担当です.
薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせでございます.

平成27年度第7回薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせ

開催日時:平成27年10月25日(日曜日)
■午後20時45分頃 仮配信
■午後21時00分頃 本配信
なお配信時間は90分を予定しております.

※ツイキャス配信はこちらから→http://twitcasting.tv/89089314

ツイキャス司会進行は、精神科薬剤師くわばらひでのり@89089314先生です.
ご不明な点などありましたら, 薬剤師のジャーナルクラブFacebookページから、又はtwitterアカウント@pharmasahiroまでご連絡いただけると幸いです.

[症例 23:新しい糖尿病治療薬で合併症を防ぐことができるのでしょうか?」

【仮想症例シナリオ】
あなたは, とある街の中小病院勤務の薬剤師です.
薬剤部にてデスクワークをしていると,
自分の担当している内分泌・糖尿病内科病棟のDr.より突然電話がかかってきました.

「MRさんからの情報で, 一番新しいSGLT2阻害剤が結構いい薬だって言われたから今度院外処方をしたいのだけれど, 近隣の薬局さんに在庫があるかどうか聞いてほしいんだ」

電子カルテを確認すると, 次の患者に対してエンパグリフロジン(ジャディアンス®)が処方される予定であることが判明.

[患者情報]
とくに目立った既往のない 40代半ばの男性
会社の健康診断がきっかけで2型糖尿病と診断されてまだ半年ほど経過したばかり
HbA1c= 8.3%
肥満(BMI=30)
メトホルミンとインスリンを使用していたが体重も血糖もコントロール不良とみなされ次の一手を考えていた.

あなたは, MRがDr.にどんな情報を渡したのかを教えてもらい, それに基づいてPubmedを使って情報検索を行いました.

すると, 確かに該当する報告を見つけることができたので, 早速読んでみることにしました.

[文献タイトルと出典]
Zinman B, et al.
Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2015 Sep 17.
PubMed:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26378978
PDF → こちら
(全文フリーで入手可能)

[使用するワークシート]
ランダム化比較試験を10分で吟味するポイント:
http://j.mp.jjclipsheet1
@syuichiao先生のブログより)


さてさて, ついに出ました!
SGLT2阻害薬のエビデンス!

出版されたのが9/17にも関わらず,
すでに多くの医療従事者の注目の的となっております.

「エンパグリフロジンで心血管リスク有意減少(日経メディカル)」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/dmns/report/201508/543512.html

「糖尿病薬で今世紀初の心血管イベント抑制効果,死亡リスク低下も(医療の明日に応えるサイト MedicalTribune)」
https://medical-tribune.co.jp/news/2015/0918037401/

「【文献】SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは心血管ハイリスクの2型糖尿病の死亡率を改善する(EARLの医学ノート)」
http://drmagician.exblog.jp/23687444/

…などなど.

僕自身はミーハーではないと自覚はしておりますが(真偽のほどはさておき),

「常に, 最新の情報を, 自分たちで吟味する」

この姿勢だけは維持してゆこうとは思っております.

エビデンスと実臨床をつなぐ架け橋へ.

いつものように, 放送中に頂くコメントへは随時お答えさせていただきます.
皆様にとって, 貴重で愉しい抄読会となれるよう鋭意努力いたします.

それでは, ネットの世界で皆様とお会いできることを心待ちにしております.

薬剤師のジャーナルクラブ(Japanese Journal Club for Clinical Pharmacists:JJCLIP)とは、薬剤師がEBMを実践するための学びの場を提供するSNSコミュニティです.現在は@89089314先生、@syuichiao先生、そしてわたくし@pharmasahiroの3名をコアメンバーとして運営しております.


JJCLIP夏のエビデンス感想文

まさひろ@メディカル担当です.
先日のJJCLIP2周年特別企画, 「夏のエビデンス感想文祭り」
ご参加いただきました皆様, 誠にありがとうございました.

そして, 感想文を作成・送ってくださった先生方, 心より御礼申し上げます.

…ふと, 自分も感想文を作ってみたくなったので, 実行してみまして.
時期外れ, かつひどい論文ですが(汚物は焼却だぜぇ?←),
どうか何かのネタにでもしていただければ.

「水素水の飲めばメタボを予防できるんかいコラァ!」

J Lipid Res. 2013 Jul;54(7):1884-93.
Hydrogen-rich water decreases serum LDL-cholesterol levels and improves HDL function in patients with potential metabolic syndrome.
Song G1, Li M, Sang H, Zhang L, Li X, Yao S, Yu Y, Zong C, Xue Y, Qin S.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23610159
PMID:23610159

【論文のPECO】

P 台湾におけるメタボの懸念のある43歳以上の患者20人(男性12人, 女性8人*)
E 水素水の消費(濃度0.2〜0.25mMの水素水を0.9〜1.0L/日を1日1回もしくは2回に分けて消費)
C 水素水の消費前
O 血清リポプロテインの値は改善するのか?

*25≦BMI≦34.9, 腹囲100cm以上(男性),80cm以上(女性)

追跡期間:10週間

【結果】

アウトカム 水素水消費前 水素水消費後 改善度(P値)
血清LDL-C値(mM) 3.96 ± 0.86 3.24 ± 0.68 0.72 (P < 0.05)
血清TC値(mM) 6.42 ± 1.13 5.47 ± 0.75 0.95 (P < 0.01)

平均して27.8mg/dlのLDL-C値の改善
平均して36.7mg/dlのTC値の改善

【感想】
代用のアウトカムかつ明確ではない(TC, TG, LDL, HDL, glucose…etc)
→ 偶然に左右された可能性大
ランダム化されていない・前後比較!(not 群間比較!)
ブラインドもされていない
サンプル数20で適切かどうかもわからない

水素水に関しては他にもいろいろと体にいいという報告があるが, どれも有料の雑誌なので断念.
(かつどれも代用のアウトカムではある)

健康食品の一つと位置付ければ, 医療費抑制のための手段の一つとして考慮してもよいのかもしれない. しかし, 内的妥当性が低いため即座に水素水の普及をしようという気にもなれない. もやもや